聖職
写真は、けさの収穫野菜です。
つるなしインゲンがたくさん穫れました。
写真の彩りに、少し前収穫したにんにくと赤玉ねぎも添えてみました。
この4月から始めた農業ですが、母親に聞いたり、ユーチューブで調べたり、何とかやっています。
作業を終えて部屋に戻ると、銀座のお店のスタッフだったM子からLINEが届いていました。
閉店する時に、
「やめないでくださいよぉ~。コロナなんかすぐ収まりから~」
と大泣きしていた女性です。
店をやめてからもこうしてLINEをくれるのはありがたいのですが、相変わらず時間の節操がありません。
今は朝の5時を過ぎたばかりです。
今までどこぞで飲んでいたのでしょうか?
M子は関西出身の28才です。
タレントの足立梨花に似て、顔立ちも可愛いし愛嬌もあるのですが、性格にやや難があります。
空気が読めず、がさつなのです。
ずぼらと言ってもいいかもしれません。
例えばですが、客席での居眠りはしょっちゅうで、注意すると、
「O型は睡眠不足に弱いんですよぉ」
ヘラヘラ笑って悪びれないし、
自分でシフトを組みながら出勤日は間違えるし、無断欠勤の時もありました。
更衣室にぶらさがっている他の女性のドレスも勝手に着るし、お酒が入ると、
「○○子ちゃん、本当は彼氏がいるのよぉ。一緒に暮らしてるのよぉ♥」
口も軽くなるので時に仲間の女性たちに煙たがられていました。
当店には3年ほどいてくれたでしょうか、その間随分と振り回されましたが、それでも彼女に辞めて欲しいと思ったことは一度もありませんでした。
理由はただ一つで、昼間介護施設で働いていたからです。
介護福祉士の資格は持っておらず、パートタイムだそうですが施設には毎日出勤していました。
今も続けています。
私は何故か昔から、介護士や看護師、保育士といった仕事に弱く、こうした仕事に就いている女性が面接に来ると無条件で採用してしまいます。
彼女たちから話を聞くと、お給料は決して良くはなく、仕事の内容からしたらとても報われないものです。
M子は、老人の下の世話もすれば、入れ歯も洗うと話していました。
仕事とはいえ、若い女性がたいしたものです。
私は、彼女たちの仕事は「聖職」だと思っています。
仮に、使命感といったようなものにとらわれていなくても、親に言われてしぶしぶやっているとしても人の役に立って感謝されていることに違いはありません。
そうした彼女たちを尊敬しているし、誇りにも思っています。
私は子供の頃、
「大きくなったら看護婦になる」
と言ってたそうです。
小学校の文集にもそう書いてありました。
何を間違ったか、人生の大半を水商売に費やしてしまいました。
それはそれで後悔したりはしませんが、もし生まれ変われるのでしたら、今度は誰かの役に立てる「聖職」に就きたいと思っています。
いや、必ずそうします。