クリスマスイルミネーション
今月の半ば、銀座へ行こうと決めていました。
7丁目の、資生堂本社ビルを彩るクリスマスイルミネーションを見るためです。
大好きなイルミネーションで毎年楽しみにしていたので、ちょっとだけ見てすぐに戻るつもりでした。
ですが東京のコロナ感染者が日に日に増えて、800人を越した時はさすがに怖くなり、行くのを断念しました。
万が一にもウイルスを持ち帰ったら大変なことになります。
コロナ禍で苦戦を強いられている息子にクリスマスプレゼントを送る時、お店で最後のメンバーだった3人の女性にもプレゼントを送りたいと思いました。
品物は、ピエールマルコリーニのチョコレートケーキです。
当店と同じ並びにあったショップのウインドウを、彼女たちがよく覗きこんでいたのを思い出したからです。
ですが、アマゾンに発注する数日前、職を失った女性たちが配信しているユーチューブ動画を見てしまい、気持ちがぐらつきました。
突然解雇された20代の女性が、残高の少ない通帳を公開して、
「来月は家賃が払えない。どうしよう」
と、途方にくれていたり、
会社が倒産した30代の女性が、
「食事は1日一食で、今日はこれだけです」
と、具なしの焼きそばを作って見せていました。
こうした動画を見るまで知らなかったのですが、このコロナ禍での女性の失業数は男性の倍だそうです。
動画を見ていると、クリスマスプレゼントを送ろうと思った3人に重なりました。
彼女たちとは8月以降連絡が途絶えているのでその後の動向はわかりません。
元気で頑張っているものと勝手に決めつけていましたが、もしかしたら動画の女性たちと同様の環境に置かれているかもしれません。
失業しないまでも、出勤日を減らされたり、お給料もまともにもらえていないかもしれません。
そうしたところに届くマルコリーニのチョコレートケーキはどういうものなのでしょう?
気持ちをさかなでするだけではないでしょうか?
深読みと思いつつ、考え込んでしまいました。
あげく、送るのをやめました。
「コロナが収束したら同窓会をしよう」
と約束しているのでその時に渡すことも出来ます。
今年のクリスマスはツリーもイルミネーションも見れないで終わりそうです。
資生堂本社のイルミネーションは今年は従来の赤一色ではなく、医療従事者への感謝と敬意を込めて青を灯すそうです。
来年はあのルビーのようにきらめく深紅のイルミネーションに戻ることを願ってやみません。
3人の女性たちもどうか幸せなクリスマスでありますように。