elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年4月3日に閉店しました。以降、地方に暮らしながら農作業と母親の介護に励んでいます。

蛇男

 虫酸が走るほど嫌いな男が銀座にいます。

 彼は八丁目でホストクラブまがいの『ボーイズバー』をやっています。

 何故この男を毛嫌いするかと言うと、友人のママの店を乗っ取ったろくでなしだからです。

 彼はボーイとしてママの店に雇われると3年ほど真面目に働いてママの信用を得ました。

 そして店の一角を借りてボーイズバーを始めました。

 ママとしては店の一角くらいという軽い気持ちだったのでしょうが、若いイケメンばかりを集めたボーイズバーは存外にも繁盛して、半年も経たない内に本来のクラブを侵略してしまいました。

 すっかり様変わりした店からは客が離れ、ママもホステスも居場所を失ってしまいました。

 当時の彼は若干25才の若造です。

 この若造がいみじくもママに言ったそうです。

「店の賃料も光熱費もかかるもの全部自分が負担しますし、売り上げのマージンもお渡しするのでママは今まで頑張られた分ゆっくり休んで下さい」と。

 要は店を乗っ取ったわけです。

 ママはおとなしく引き下がりました。

 親子ほども年が違いますが、もしかしたら二人の間に男女の関係が横たわっていたのかもしれません。

 今、ママは『猫カフェ』をやりながら静かに暮らしています。

 何の損害もこうむっていない私がこうして怒るのも変な話ですが、何もかもが用意周到だった気がして許せないのです。

 彼は去年の暮れにママ名義の店を出て、8丁目の新築ビルに移りました。

 この新型コロナウイルスでざわめいている今、新しくガールズバーもオープンさせるそうです。

 時々見かけますが、いつも女性を連れ歩いています。

 OL風だったり、キャバ嬢だったり私のような年配ママだったりです。
 
 私に気づくとニヤつきながら寄って来ます。
 
 慇懃に頭を下げながら、

「一度、顔を出して下さいよ。ママの好きそうなタイプ、揃えておきますから」

 後が怖いから作り笑顔で応じますが、この男といると心拍数が上がって息苦しくなります。

 内面が顔に張り付いている典たるタイプの男です。 

 読後感の悪い記事を書いてしまいましたが、

『軒を貸りて母屋を乗っ取った卑劣な男』がいたとして、私の銀座historyに残さないわけにはいきません。

 ちなみに私はこの男を『蛇男』と呼んでいます。
 
 実際、首筋に蛇のタトウを入れています。