elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年4月3日に閉店しました。以降、地方に暮らしながら農作業と母親の介護に励んでいます。

泣いてしまいました

 昨日の営業中泣いてしまいました。

 お帰りの時にお客様が、

「財布がない!」

 と騒ぎ出したのが発端です。

 お客様は、当店に預けたカバンの中に入れてあったと言って聞きません。

「間違いないよ! 確かに入れたんだから!」
 
 カバンの中身をカウンターの上に広げて探すも財布はありません。

 上着やズボンのポケットにもです。

 彼は仁王立ちになって私をにらみつけました。

「ママ、何年のつきあいだよ! 店が暇だからってこれはないだろう! 金はいいから財布だけ返してくれ、大事なメモが入ってるんだ!」

 泥棒扱いしてぶちギレました。

 女性の一人が機転をきかせて警察に問い合わせると、深川警察署に届いていました。
 
 詳しくは教えてもらえなかったようですが、タクシーの中に落ちていたとのことです。

 酒を飲めば判断力も理性も鈍りますからわからないではありませんが、はなっからの『泥棒扱い』はひどすぎました。

 かりにも昼間は先生と呼ばれている、コンサルタント会社の代表ではありませんか?

 彼は謝罪もせずに、

「警察に行って確認して来る」

 と、出て行きました。
 
 その後ろ姿が消えたとたん、思わず涙がこぼれてしまいました。

 他にお客がいなかったのが幸いでした。

 女性たちが、

「あんなの、出禁にしましょうよ!」

SNSに上げてやろうか!」

名誉毀損で訴えられないのかな!」

 駆け寄って慰めてくれました。 

 元気な時なら、

「お詫びに今度お寿司でもごちそうして下さいね。近々お待ちしていますよ」

 とでも、うまく切りかえて次につなげられたと思うのですが、コロナウイルスの影響でお客の入らない日が続き、気が弱っていたのだと思います。
 
 完全に無力でした。

 弱り目に祟り目で、女性たちに初めて涙を見せてしまいました。