虚言癖
夜の銀座には、虚言癖のママやホステスたちが大勢います。
黒服などの男性スタッフもです。
虚言の中で圧倒的に多いのが学歴詐称です。
高校もまともに出ているかわからないボーイやホステスが、有名私大に通っていたと大嘘をつきます。
銀座で飲むサラリーマンの大半はその有名私大を卒業しているわけで、
「君、どこの大学? 専攻は? ゼミは?」
あれこれと聞きます。
用意周到に構築したつもりでもどこかでバレてしまい、居たたまれずに店をやめていったボーイやホステスを何人も見てきました。
次に多いのが家系詐欺です。
実家が総合病院を経営しているとか、宛名だけで郵便物が届く地元の名士だとか、いやはや恐れ入るものばかりです。
店長が、
「そんないいとこの娘や息子が何で水商売なんかやってんだよ。いなかに帰って跡継げよ」
よくからかっていました。
何故、銀座には虚言癖が多いのか?
それは、お客の大半が自分とは対極の、一流企業の重役だったり、有名人だからだと思います。
毎晩のようにこうしたお客と間近で接するわけですから、するうち自分も同じ類いの人間であると勘違いしてしまうのではないでしょうか?
だからついつい見栄や虚勢を張ってしまう…。
おろかだとは思いますがだからと言って、こうしたホステスやボーイ、ママ連中を非難することは出来ません。
虚言ではないにしろ、私も嘘をついていることがあるからです。
自分の身を守るために、計画的に練った嘘です。
誰にも話したことがないし、このブログにも明かせません。
親にも一人息子にも秘密で、墓場まで持って行くつもりです。
私のこの嘘に比べたら、彼らの嘘など可愛いものです。
推奨こそしませんが、嘘をつくことで気持ちが満たされ、それが活力につながるなら、もちろんひと様に迷惑をかけないことが前提ですが、水商売のあるあるで許されてもいいと思います。