elderlyママのぼやき

元銀座のママです。長年続けてきたナイトクラブを令和2年4月3日に閉店しました。以降、地方に暮らしながら農作業と母親の介護に励んでいます。

誕生日

 今月の8日はMybirthdayでした。

 68歳になりました。

 誕生日がめでたい歳でもないのですが、母が憶えててくれて、

「これで何か買いなさい」
 
 とタンス預金からこづかいをくれました。 

 福沢諭吉を2枚ですが、特に欲しい物もなかったのでそのお金で、ちょっとお高めの牛肉とメロンを買いました。 

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 バースデーケーキもあったら良かったのですが糖尿病の母の手前遠慮しました。

 母と二人だけの誕生日会の準備をしていると、近くのお寺の奥さんがハマグリを持って来てくれました。

 時々、畑の野菜をおすそわけしているのでそのお返しのようです。

 砂は吐かせてあるというのでフライパンを熱してその上に並べていると今度は、

「息子が釣って来たんだけど」

 と、日頃から何かとお世話になっている、ご近所のおじさんがカワハギに似た地魚を持って来てくれました。

 お二人とも農作業を通じて知り合った母の友人です。

 私の誕生日など知っているわけもなくハマグリも地魚も偶然の頂き物です。

 今、母と住んでいるこの家は41歳の年に『ついのすみか』として地元の大工さんに建ててもらいました。

 店の女性たちにも保養所のように利用して欲しいと思い、海のきれいな地を選んだのですが、家屋が竣工するやいなや、

「家はね、人が住まないと傷むのよ。特に新築はね」

 そう言って母は東京を引き払い、ちゃっかりと一人で住み着いてしまいました。

 当初はあきれ返ったものですが、そのうちには庭先を耕して畑を作ったり、町内会にも参加して集落に溶け込んでくれました。

 おかげで後から参入した娘の私はよそ者扱いされることなくすんなりと受け入れてもらえました。

「さあ、用意が出来たわよ。誕生会を始めましょう」

 テーブルにごちそうを並べていると、表から太鼓や笛のお囃子が聞こえて来ました。

 何かと思い窓外を見ると、マスクをつけた子どもたちが大人に先導されて花や人形が飾られた山車を引いていました。

 今年の夏祭りはコロナ禍で中止と聞いていたので驚きました。

 本来ならかなりの数の山車やみこしが練り歩く祭礼なのですが、今年に限って母と私が住んでいるこの集落から1基だけを出すことになったのだそうです。

 偶然とはいえ、海の幸を頂戴したり、山車も見れて、何とも胸にくる誕生日でした。

 銀座にいた頃のようにシャンパンもバースデーケーキもない誕生日でしたが、この地に歓迎されている気がしたのは思い過ごしでしょうか?